Daft Punkの「Harder Better Faster Stronger」とかいう曲



ダフト・パンク(Daft Punk)という音楽デュオがおりましてね、僕、かなり好きなんです。


2021年2月に解散が発表されました…。


世界的に有名なので、もはや説明不要かと思いますが、彼らは1999年のコンピュータ・バグによって録音機材が大爆発するという事故に遭ってしまい、緊急搬送されて意識が戻ったときにはサイボーグになっていたそう。


…まぁ、そういう設定です。


そのため素顔は今でも謎のままという異色の存在。


サイボーグヘルメットのままライヴをしたり、F1のピットに現れたり、グラミー賞を受賞したりしています。


キャラ設定に関係なく音楽性がものすごーく評価され、全世界にファンがいるのです!


ダフト・パンクといえば「ワン・モア・タイム (One More Time)」が超有名で代表作的な位置づけですが、僕が大学生だった2001年ごろ、ラジオでもクラブでもガンガンかかってました。


その、ワン・モア・タイムも収録されているアルバム:ディスカバリー(Discovery)に「Harder Better Faster Stronger」(邦題:仕事は終わらない)という曲があるんですけどね、まぁコレがかっこいいの何のって!





Work it harder, make it better
Do it faster, makes us stronger
More than ever, hour after
Our work is never over


という割と短い歌詞を分解したり繋げたりした作品です。


Work it harder, make it better

Do it faster, makes us stronger

More than ever, hour after

Our work is never over


こんな風に色分けすると構成がよく分かると思います。


サンプラーから出力された詩がメッチャかっこいいですね。最高です!


この天才的が楽曲が全世界を駆け巡り、無名の天才を刺激することになります。


◆身体表現 Daft Hands~Daft Bodies





まずはコレ。


前出の歌詞を手や指に書いて、音楽に合わせて歌詞を出すという手遊びです。


2007年6月6日に公開され、既に6000万回以上(!)再生されています。


世界中の誰にもこんなアイデアがなかったので大絶賛されました。


再生回数を見ればお分かりだと思います。


YouTubeも黎明期で、まだ職業としてのユーチューバーも世界的に認識されていなかった頃です。


広告も付けずに個人が映像をアップロードしていた時代ですね(一般人が動画に広告を貼れるようになったのは2011年4月)。これもそうです。


映像機材も決してプロユースのモノではなく、画質も決して良いとは言えません。


ピントもボケたりしてますが、編集なしの一発撮りですね。


これにインスパイアされた謎の女性2人組が、指ではなく全身を使っての表現を動画にしてアップ。


これまた大絶賛の嵐でした。





2007年10月23日に公開され、2000万回以上の再生回数です。


本家の2人を模して、コチラも顔は隠したままでの撮影。


体のアチコチに歌詞を書いており、音楽に合わせてそれを見せていくスタイルです。


シュールなんですけど、練習なしにはできないでしょうから、作品への愛が感じられます。


◆集団表現


「手遊び」から「2人ダンス」ときて次は複数人での身体表現に発展していきます。


学祭か発表会かだと思うのですが、ダンスと歌詞を合わせたものです。


最初に誰が思いついたのかは不明ですが、YouTubeのおかげもあり距離を超えてアイデアが急速に広まったのは間違いありません。



2008年12月19日に公開



2009年5月26日に公開


前者は女子チーム、後者は男子チームのダンスです。高校生ぐらいでしょうか?


どちらも楽しそうに、そして懸命に踊っているのが良いですね。


いずれにしても練習しないと完成しないクオリティーに達しているので、その背景が想像できるのがミソだと思います。


◆天才的思考の極み


そして、そして。この「天才の刺激」は日本にも到来します。


「Daft PunkのHarder, Better, Faster, Strongerをサザエさんのキャラで」という動画。


もともとはニコニコ動画に上げられたものみたいです。


タイトルだけ読んでも「??」なんですが、聴いてみると実に素晴らしいです。


歌詞のパーツをサザエさんに出てくるキャラクターに当てはめたもので、もう何なのコレ!


作者の天才的思考、着眼点、発想力。


こんなの誰にも作れません。



2009年8月24日にYouTube公開



Work it  harder,  make it  better
波平    タマ   フネ   マスオ

Do it   faster,  makes us  stronger
カツオ サザエ  ワカメ  タラちゃん

More than  ever,  hour  after
中島   ノリスケ 花沢 タイコ

Our    work is  never  over
伊佐坂 イクラ 三河屋  アナゴ


こういう感じです。改めて歌詞にキャラクター名を対応させてみると、磯野家フグ田家+タマ非血縁波野家+アナゴさんというグループ分けがなされていることに気づきました!


無秩序に名前を当てたのではなく、作者なりのルールや思惑があったんでしょうね。


ホントになぜコレを作ろうと思ったのか?


常人には到底理解できない天才の領域です。


この作者「Daft PunkのOne More Timeを日本語でやってみたよ」という動画も上げており、これなら理解できます。英詞を日本語訳にしてみようって試みですから。


それを遥かに凌駕する「サザエさんのキャラで」という飛躍と、それをやってのける行動力。


そして圧倒的な謎のハイクオリティー。


後世に伝えるべき傑作であることは間違いありません。


カバーやアレンジも続々と


元ネタの素晴らしさもあって、カバーやアレンジ作品もドンドン出てきています。



これはtalkboxというエフェクターをつかった生演奏。



Pentatonix によるアカペラ&ボイスパーカッションカバー。



ファミコン世代の僕には激アツの8Bitカバー。




2019年発表のPomplamooseによるカバー。


(↑ このPomplamooseという音楽デュオも超イイですよ!)


◆まとめ


ダフトパンクが2枚目のアルバム:ディスカバリーを発表したのが2001年。


CD屋さんでCD盤を購入していたのも今は昔です。


音楽に関わる環境は、ダイナミックに変化しましたね。


CDではなくデータを買っていたのも既に過去で、今やサブスクで聴き放題なんて当たり前になってきました。


音楽以外の構造や環境も、また然りです。


どんなに時代が変わって、社会の仕組みや構造に革新があっても、新しい方法を模索し続け、より良くなろうとするのが我々人間。


つまり、いつの時代も「Our work is never over 仕事は終わらない」というところでしょうか。