「座りっぱなし」で仕事する人の腰痛・肩コリに東洋医学のススメ。自宅でできるセルフケアも紹介。



「長時間ずっと座りっぱなしで仕事する人」


結構いらっしゃいますよね。


「座る」というのは楽そうに思われるかも知れませんが、体にとっては楽どころではなく、不自然な恰好です。


少々の時間ならまだしも、長時間デスクワークが続いて、動くのは「目線と指先のみ」というは間違いなく疲れます。


「動物」っていうぐらいなんで動いていて然るべきなんですよね。


僕の臨床経験上、「体を動かして疲れる人」よりも、「同じ姿勢が続いて疲れる人」のほうが疲労度は深刻です。


腰が痛い、首が痛い、吐き気がする、足がつる、めまいがする、体がダルい、熟睡できない、不安感やストレスを強く感じる、健康診断で再検査…


などなど。


そういった症状に悩まされている方、ホントに多いですよ.


そこで鍼灸マッサージ治療院を営む僕から「長時間の座り仕事される方」の健康について思いつく限りの解決策を提案してみようと思います。


ひとつでもピンとくるものがあれば是非とも試してみてくださいね。


◆まずは検査をしましょう


既に痛みやシビレ、不眠や食欲不振など、不快な症状に悩まされているのでしたら、まずは病院で検査したほうがいいです。


その症状は何か悪い病気の結果かも知れませんからね。


原因を特定する意味でも、重篤な疾患を否定する意味でも、調べてもらったほうがいいですよ。


僕は鍼灸マッサージ院で東洋医学的な仕事をしていますが、東洋医学こそ最高!西洋医学なんて全否定!」というのは絶対によくないと思っています。


血液検査なり画像診断なり、検査を受けたほうが絶対にいいです。


これホントに!


総合病院だとメッチャ時間がかかるので、近所のクリニック等でサクッと診てもらうのが初手としては最善だと思います。


勝手な「自分診断」が一番こわいですからね。


◆検査後に治療


検査で原因がハッキリしたり、病気が見つかったりした場合は迷わず治療を受けましょう(当たり前ですよね、治療を拒否する理由がありません)。


問題は原因がよく分からないときです。


原因不明」なんて不安が高まるかも知れませんが、結構よくあることです。


後述しますが、病院(現代西洋医学)は数値や画像の異常から客観的に診断するのは得意なんですが、数値や画像に表れない主観的な診断は苦手です。


ですから患者さんがどんなに痛みや不快感という主観的な症状を訴えているとしても、数値や画像に問題がなければ「異常なし」とか「原因不明」ということになってしまうんですよね。


そういうときは東洋医学を試してみるのがいいかも知れません。


東洋医学は数字で表現できない主観的な症状の治療が得意だったりしますので。


◆東洋医学を試してみませんか?


まず多くの方は「東洋医学って本当に効くの?」と思われることでしょう。


1回も東洋医学的な治療を受けたことがない人がそういう風に思うことは仕方がないと思います。


しかし鍼灸マッサージ師として働く僕にとっては東洋医学が効くという事実は「そんなの当たり前」なわけです。


だって毎日この目で見て、この手で治療してますからね。



東洋医学、特に鍼(はり)や灸(きゅう)を使う治療法は古いものではなく、古くならない普遍的要素を多く含んだ治療技術です。


腰痛や肩こりだけでなく、病院では「原因不明」として痛み止めしか処方されない症状にも有効なことも多いんですよ。


主観的、つまり「自分にしか分からない症状」や「心身の苦痛」は東洋医学で対応できる可能性があるということです。


是非これだけでも覚えておいてください!


◆鍼灸やマッサージは時短ツール


「ちょっと腰が痛いとか肩がこるとか、寝てりゃ治るだろ!」と思われる方もいらっしゃると思います。


それは結構その通りです。


寝ている間に免疫力や自然治癒力みたいなものが働いて、目が覚めればスッキリ治っている…という能力が人間には備わっています。


しかし、あまりにも疲労が長期化し、筋肉のコリが慢性的なものになり、さらに毎日あたらしい疲れが体に入ってくるとなると自己回復機能が追い付かなくなってしまします。


こういう状況では「寝てりゃ治る」には期待できなくなってしまうのです。


そこで積極的に鍼灸やマッサージを受けると自己回復にかかる時間を短縮できるというわけです。


寝てりゃ1週間で治るものが、治療を受ければ2日で治るという感じですね。


結局、体を治すのは自身の自然治癒力なのですが、東洋医学を活用することで治癒力を高めたり、回復のスピードを速めたりすることは可能です。


つまり東洋医学的治療は「時短ツール」でもあるということですね。



◆西洋医学と東洋医学の違い


西洋医学は自然科学から出発しており、デジタル的な発想です。


徹底した観察に基づく0か1か、あるかないか、生か死か、という世界観です。


数値や画像で表現できるもの」の治療が得意です。



東洋医学は自然哲学から出発しており、アナログ的な発想です。


白と黒だけではなく、その間のグレーも認識します。


健康と病気の間にある「病気じゃないけど健康でもない状態」の治療が得意です。



僕は東洋医学を仕事にしている人間ですが、「東洋医学が最高!西洋医学なんて絶対ダメ!」というのは良くないと思います。


上でも書いた通り、どちらにも得意分野があるので賢く使いわけたらいいと思いますよ。


「いいとこどり」が最強ですから。



まずは「生きる=死なない」ために西洋医学的な診察や検査を受け、そこで客観的な問題が見つかれば迷わずに治療を受ける。


検査に異常がなくても主観的に不快な症状を感じるのであれば「より良く生きる」ために東洋医学的なアプローチを積極的に試す。



…というような感じです。


どんなに仕事ができても体を壊してしまっては意味がありません。


心身のメンテナンスに東洋医学が有効な場合もありますので、是非とも活用してください。


◆鍼灸院、マッサージ院の選び方



鍼灸やマッサージを試してみようにも「ドコが良い店なのか分からない!」というのは患者さんのあるある話です。


というのも、医療系の国家資格は法律で広告できる内容が制限されているんです。


病院でも鍼灸院でもマッサージ院でも「○○の治療専門」とか「○○先生在籍」とか「今月だけ○○円引きキャンペーン中」とか看板等に書いちゃいけないんです。


医療で価格競争が起こってしまうと国民の健康を害するおそれがあるので、そういうことが起こらないようにしているのだと思います。


でも選ぶ側(患者さん)は困ってしまいますよね。


そこで出てくるのがインターネットです。


法律で「広告の制限」が定められた以降にネット社会になっていったので、今のところインターネット上のPRはオッケーとされています。


広告ではなく広報という位置づけらしいです。


近々、この辺にも国のガイドラインが設定されるのは間違いないとは思います。


ネットで治療院の情報を検索してもらって、良さそうなところ・合いそうなところを試してみてください。


なんだかんだで、家や職場から近い治療院が便利ですよ(これ結構、重要です)。


◆こんな治療院はやめておけ!というポイント


あくまでも僕個人の意見ですが、こんな治療院はやめておいたほうがいいという特徴を書いておきます。


不潔、不衛生
(汚いのは話にならない)


必要以上に怖がらせる
(不安を煽って通院させる)


次回予約を強制する
(患者さんの都合や生活に合わせる気がない)


専門用語が多過ぎる
(理解してもらおうという気がない)


常に上から目線で高圧的・命令的
(気が弱い患者さんを盲目的に従わせる)


過去の栄光をベラベラしゃべる
(目の前の患者さんに向き合っていない)


3回以上治療を受けても改善がみられない
(その症状に対して、その施術者は対応できない)


繰り返しますが、あくまでも僕の個人的な意見として挙げておきます。


◆「ゴッドハンド」なんてない!


どんな症状も治してしまう先生を「ゴッドハンド」とか言ったりしますが、個人的にはそんなのはないと思います。


もちろん技術や経験を持ち合わせた先生だとは思いますけど、患者さんとの人間的相性や得意分野なんかも関係してくるので、そういう謎の肩書は信用しないほうがいいです(特に自称ゴッドハンドの場合)


施術者と患者の相性(人間同士の合う・合わない)みたいな要素って思いのほか成果に影響すると思いますので、「自分にとってのゴッドハンド」を探す・見つける・育てるような感じがいいですよ。


◆鍼灸治療やマッサージ治療は医療費控除の対象!


年間10万円以上の医療費は所得から控除されるので、積極的に治療を受けると課税所得を圧縮することができます。


「自己と生計を一にする配偶者やその他の親族が支払った年間10万円以上の医療費」最大200万円まで所得控除になる…というのが現行ルールです(※所得からの控除であって還付ではありません)。


病院での治療以外に、国家資格を有する鍼灸師やマッサージ師の治療も医療費控除の対象です。


たとえば夫の腰痛治療、妻の不妊治療、子供の夜泣き・カン虫治療…など、生計を共にしている家族であれば合算することが可能です。


※ただし治療に限ります。

疲労回復や慰安を目的にした施術は医療費控除の対象外です。


節税対策で頭を悩ませる先輩も多いらしいので、是非とも活用していただけたらと思います。


年末あたりに「年間の領収書をお願いします」と伝えておけば領収書を発行してくれますよ。


但し書きは「1年間の治療費の合計として」とかで大丈夫です。


◆家でもできるセルフ「腰痛」対策


「わざわざ治療に出向くのも面倒だし自力で何とか治したい」という方もいるかと思いますので、自宅でもできるセルフケアを紹介していきましょう。


・まず基本的に痛みがある場合は、安静第一です。


腰が痛いのであれば、腰のストレッチなどはしないほうが無難です。


痛みが治まってきてから動かすようにしましょう。


腰痛は「足のストレッチ」をすると効果的ですよ。


「足腰」なんて言うように、足と腰は密接に関係しているところです。


予防的な意味でも、日頃から「屈伸・伸脚・アキレス腱のばし」の3つをやっていると腰に良いですよ。


どれも体育の準備体操でやったことがあると思います。


コツは痛みのない範囲で少しずつ、ジワジワゆっくり伸ばしていくことです。


反動をつけて急に伸ばすとケガの原因になりかねませんからね。


腰の筋肉そのものを刺激するなら中山式快癒器がオススメです。


僕も使っています。電気不要・持ち運び可・とにかく頑丈な普遍的アイテムです。




仰向けになって、この上に乗るだけですが、しっかりと筋肉を刺激してくれますよ。


腰だけでなく、背中や首にも使えます。


さらに腰の筋肉が冷えないように、寒い時期はしっかり防寒すると効果的です。


靴下・ズボン下(タイツ)・腹巻などで温めてやると腰痛予防になりますよ。




・腰に負担をかけないのであれば、「座らない」という方法もあります。


立った状態でパソコン作業をするということです。


実際、欧米では昇降式の机(スタンダップデスク)を採用する企業も多いとのこと(体重過多で座り続けると腰の負担も大きいですからね)。


これは天板が大きい(広い)やつです。


こっちは天板が小さい(狭い)やつです。


楽に作業できる環境を作ることで肉体的負担はグッと減らすことができますよ。


◆家でもできるセルフ「肩こり」対策


・肩こりも同じですね。


痛い場合には、まず患部を休ませる。


安静です。


首を振ってボキボキ鳴らすのは危ないので絶対にしてはいけませんよ。


あれば「音が鳴るから気持ちいい」のではなく、「首の筋肉がストレッチされるので気持ちいい」というのが正確です。


肩や首以外は動かしていきましょう。足をストレッチして腰のケアができたように、今度は手の筋肉をストレッチして肩こりのケアができます。


もし首周辺のストレッチをするなら、具体的には「この2つ」でオッケーです。


①肩をグゥゥ~っとすぼめます。

肩の先を耳にあてるイメージです。

もうこれ以上は上がらない!というところまで来たら、一気に脱力して肩をドンと下します。

これを3回。



②次は、ゆっくり首を回します。

あくまでも「ゆっくり」ですよ。

首が動く範囲すべてを使ってグルゥ~っと回します。

右回し・左回し、2周ずつやればオッケーです。


いずれも痛みがある場合はムリしないでくださいね。


できる範囲で筋肉を伸ばす感じです。



・あと首回りは温めたほうが基本的には良いですね。


「三首、冷やすな」という健康金言がありますが、首・手首・足首は血管が外気に近いので温めといたほうが体には良いですよ的な意味合いですね。


(ちなみに、あくまでも余談ですが、乳首は解剖学用語で乳頭と呼ぶので三首には含まれませんので悪しからず。)


夏場は首に薄手のタオルや手ぬぐいを巻くといいですよ。


汗を吸い取って気化熱を抑え、クーラーによる冷え過ぎを防いでくれます。


冬はネックウォーマーで積極的に防寒しましょう。


煙突効果といって、筒状で上部に空気の出口がある物は、そこからドンドン熱が逃げてしまいます。


ネックウォーマーでフタをして熱を守りましょう。


首の筋肉が温かく柔軟に保たれていると、自律神経が整いやすく、肩こりや首こりはもちろん、頭痛や眩暈(めまい)にも良い影響がありますよ。




◆セルフ「目の疲れ」対策


長時間ディスプレイを見るデスクワーカーさんは目の疲れや視力の衰えを実感しやすいかも知れません。


ピントを合わせるのも目の筋肉の仕事ですから、これが同じ距離の同じ動きだけが続くとガチガチに固まってくるのも当然というところです。


腰や首と同じように目も基本的には温めたほうがいいかと思います。


冷やすと一時的には気持ちがいいのですが、根本的な解決にはつながりにくいですし、冷やし続けるというのは感覚をマヒさせて痛みを感じにくくしているだけです。


電子レンジで温めるヤツは繰り返し使えるのでコスパも良いですよ。


温めながら、目を閉じた状態で眼球を動かすとピントを調節する筋肉のストレッチになるのでオススメです。


やり方は簡単。


目を閉じたまま上下左右、斜め方向、グルグルと右回し・左回しと眼球を動かしてやるだけです。


ゆっくりやるといいですよ。


あとは目を開けた状態で遠→近→手元と目線を移してピントをそれぞれに合わせる練習をしましょう。


距離なんて適当でも構いませんので、とにかくディスプレイ以外の距離間隔にもピントを合わせてやるほうが目には自然です。





菊花茶という文字通り「菊の花のお茶」にはビタミンB1が多く含まれており、これが疲れ目にいいとされています。これもオススメです。



◆運動は「続けられること」が最重要


健康づくりに「適度な運動」は間違いなく必要です。


じゃあ、その『適度な』運動ってなんなのか?という話です。


僕が患者さんに推奨している適度な運動は、ラジオ体操散歩です


「それだけ?」と驚かれる方もいますが、これだけです。


健康に生活していくだけであれば「筋肉ムキムキ」になる必要も「毎日10キロ走る」必要もありません。


そういうトレーニングが必要なのは見栄えのいい肉体が欲しい人やアスリートのみです。


目的や目標のないハードトレーニングは体に悪いだけですからね。


「普通の健康」のためにはラジオ体操と散歩で十分だと僕は思います。


・ラジオ体操、最強説


ラジオ体操はホントにスゴイ体操です。


あんなに計算し尽くされた全身運動ってなかなかないですよ。


これを全力でやるのが重要です。


テレテレ・ダラダラやっては意味がありません。


ラジオ体操には第1と第2があって、第1は大半の国民は体育の授業や運動会で経験したことがあるアレです。


その半面あまり知られていないのが第2です。


僕も偉そうに言ってますが、映像を見ながらでないと正しくできないのですが、このラジオ体操第2は筋トレ要素が多く含まれており、筋肉を適度に刺激するにはもってこいです。


第1と第2を連続して行っても8分弱です。



まずは2日に1回程度、全力でラジオ体操第1をやる。

慣れてきたら全力で第1も第2やる。

さらに慣れてきたら1日1回、全力でラジオ体操第1と第2をやる。

徐々に増やしていくのがコツですね。



これだけで十分に健康効果はありますよ。


全身の筋肉を刺激する適度な運動としてはラジオ体操が最強です。




・散歩で心身のリフレッシュ


散歩は循環器(心臓・血管)や呼吸器(肺など)を刺激するためにやります。


これは別にダラダラ歩いてもいいですよ。


時間を決めて、その時間だけはとにかく歩くといいです。


外の空気を吸い、季節を感じて、風景に目をやる…。


散歩は気分転換にもなりますのでホントにオススメです。


深呼吸してみるのもいいですね。


「歩くだけでは刺激が足らない!」という人は坂道を選ぶといいかも知れません。


山道や階段など、傾斜や段差があるところは筋肉にも心肺機能にも適度な刺激を与えてくれますよ。


いずれにしてもハード過ぎる必要は全くないので、少し呼吸や心拍が早くなる程度、ジワッと汗をかく程度で必要十分です。


◆まとめ


思いつくままに書いてみました。


車やパソコンなら部品交換が可能ですけど、人間の体はそう簡単にはいきませんからね。


手入れして使っていくしかありません。


でもキッチリ手入れ(メンテナンス)をしていれば人体は105年ぐらいなら使えると思いますよ。


これホントです!


余計なお世話かとは思いますが、心身のメンテナンスにも正しくお金を使ってもらって、どうか健康という土台が疎かにならないようにしていただきたいと思っています。


アントニオ猪木さんが仰った「元気があれば何でもできる」とは本質だと思います。


どんなに知識や経験やスキルがあっても、それらを十分に発揮できるだけの元気がないといけませんよね。


ぜひ、ご自分に合った方法で健康を維持・増進していただければと思います。


もし何かの参考になれたら幸いです。


最後まで読んでいただいてありがとうございました。