もし食糧自給率100%になったらリスク高くね?という話



「日本は食料自給率が低いので、もっと自給率を上げなくてはいけない」


みたいなことを一度は耳にしたことがあると思います。


僕は、コレ、ホントにそうかな?と思うので、ちょっと調べながら書いてみますね。


ま、あくまでも素人の発想なので、深く考えずに読んでもらえればと思います。


そもそも食糧自給率って何?


農林水産省のホームページによると、食料自給率とは国内の食料消費が、国産でどの程度まかなえているかと示す指標とのこと。


食料全体における自給率を表す指標に供給熱量(カロリー)ベース総合食料自給率と生産額ベース総合食料自給率とかあるそうです。


カロリーベースでの自給率は、38%(平成28年)。


国民一人が1日に必要なカロリーの量を、国産品でどれぐらいまかなえているかという指標です。


国民が消費するカロリーの4割弱は国産、6割強は外国産ということですね。


カロリーベースでの自給率が低いのは高カロリーの油や小麦を多く輸入しているからではないかと思います。


生産額ベースでの自給率は、68%(平成28年)。


生産額ベースの自給率は結構たかいような印象です。


カロリーに関係なく、「食料の国内生産額」を「食料に関する国内消費志向額」(どちらも単位は日本円)で割ったものです。


これで見ると、国民は国産の食料を7割弱、外国産の食料を3割強という割合で消費しているみたいです。


この生産額ベースでの計算のほうがピンと来ますね。


スーパーで買い物して「国産7割弱・外国産3割強」ということがあっても、「国産4割弱、外国産6割強」という感じはあまりありません。


地元でとれたモノを地元で食べるほうがフレッシュで輸送費もかからないので、そりゃそうかなぁと思います。


ちなみに世界的には生産額ベースで食料自給率を算出することが多いみたいです。


もし日本の食糧自給率が100%になったとしたら?


もし日本で作った農作物で日本人の食糧を100%まかなえるようになったらどうでしょうか?


農家の方のおかげで食糧自給率が100%になるというのは素晴らしいですね。


スーパーに並ぶのも国産の作物ばかりです。


しかし、台風や長雨、寒波や豪雪などの自然災害によって作物に悪影響が出ることも考えられます。


予期せぬ不作となってしまったとき、自給率100%では途端に困ってしまいますよね。


100%自国の生産に頼っているということですから。


「足らないときは足らない分を輸入すればいい」というアイデアもあるかも知れませんが、急に・どうしても・たくさんの量が必要となると、足元を見られて不利な取引を吹っかけられるかも知れません。


気候が安定し大規模農地で大量収穫が見込める農業大国であればともかく、日本で自給率100%を実現してしまうのはリスクも伴うように思います。


1点張りはリスク高過ぎ


何も自給率に限った話ではなく、100%の1点勝負は危ない話です。


例えば株取引。


ある1社の株に全財産を投入して、その会社が急に倒産したら…これヤバいです。


もしくは仮想通貨に1点賭け。


なけなしの貯金を一気につぎこんだのに大暴落して全部パア…シャレになりません。


1つに100%を突っ込むと、当たれば大きいかも知れませんが、外れてしまうと失うものが多すぎます。


これはリスクが大きすぎて良くないですよね。


予想が外れてしまったときのことを考えて分散させておけばリスクも分散できます。


自給率もリスク分散


食糧自給率も同じじゃないでしょうか。


何がなんでも食糧自給率100%を目指すのではなく、上手く分散させればいいと思います。


日本は国土が狭いんですから、国土も農地も広くて作物が余ってしまう国々から適度に、定期的に買ったほうがリスクは分散され、食糧の価格や物量も安定するんじゃないでしょうか。


外国産の安い農作物が大量に入ってきて困る…という農家の方もいるとは思いますが、そこは国産品とか高品質という付加価値を付けて外国産と差別化するしかありません。


まとめ


「日本の食料自給率を100%にする!」と聞くと、なんだかとっても良いことをしている感じがしますが、実現したときのことを考えるとリスクが高過ぎのようです。


別に100%じゃなくても、上手く輸入して食糧供給が安定し、高いモノも安いモノも自由に選べるほうが良いように思います。


国土や気候はそれぞれなので、小さくて人口も減っている日本はムリしてまで食糧自給率100%を目指さなくてもいいんじゃないかなぁという話でした。